18. 地下駅空間の大規模拡幅のためのリニューアル技術

都市部の地下駅では、混雑緩和や機能向上などを目的として、既設トンネルの一部を開口し、新設トンネルと接続する拡幅工事が増加しています。しかしながら、拡幅規模が大きくなると、既設トンネルに多くの補強が必要となる場合があります。

そこで、新旧トンネルを接続部において、地盤側に突起部を設けた補強梁で既設トンネルを抱き込み、水平と鉛直の十字配置のアンカーで接続する工法を開発しました(図1)。これは、線路方向に対しては補強梁の効果で、横断方向に対しては新旧トンネルが一体となって抵抗することで、既設トンネルの断面力の増加を抑制する構造です。実物大模型の載荷試験等を行い、接続部が先行して破壊せず、新旧部材が一体的に挙動すること、本工法を適用するために提案した設計法で期待した曲げ耐力を有することを検証しました(図2)。

標準的な2層2径間のトンネルで試算したところ、従来から用いられている工法に比べて、既設トンネルの補強量が低減することで10%程度のコストダウンを図ることができます。