20. 沿線の構造物による音の反射を加味した騒音予測手法

沿線の環境影響評価や騒音対策の検討のため、様々な状況で適用可能な沿線騒音の予測手法が求められています。 しかし従来の手法は、主に高架橋を走行する列車からの騒音を対象としていました。 そこで、従来の予測手法の適用範囲を拡張するため、切取法面、跨線橋、建物など沿線の構造物が騒音の伝搬に与える影響を音響模型試験および現車試験で評価するとともに、それらの結果を基にした騒音予測手法を構築しました。

切取区間では防音壁、法面および車体での音の反射と遮蔽、跨線橋と建物が複合した場合では跨線橋の裏面反射と建物壁面での音の反射と遮蔽(図 1)を考慮した音源モデルを構築しました。

反射の影響は有限な大きさの反射面での反射補正量、遮蔽の影響は複数の壁や矩形遮音壁による遮蔽補正量として表計算ソフトで計算できます。跨線橋と建物の影響についての本予測手法による予測結果と音響模型試験での実測結果の差は約1.5dB以内であり、予測手法の妥当性を確認しました(図 2)。 これらの手法により、跨線橋と建物などが複合する条件などで騒音予測ができ、沿線に跨線橋や建物が新設された場合等における騒音低減対策の検討に活用することができます。