3. 支線と架空電線による高架橋上に設置された電柱の地震対策手法

 高架橋上の電柱の地震対策の1 つに、線路両側の電柱をビームで接続する門形化があります。
門形化は、線路直角方向の振動低減には効果があるものの、ビームの質量が付加されることで電柱
の線路方向の固有周期が長周期化して高架橋と共振し、場合によっては倒壊する恐れがあります。
そこで、電柱に支線を設置するとともに、雷害対策として設けられる架空電線を電柱に剛結支持し
て電柱の固有周期を短くし、高架橋との共振を抑制する手法を提案しました(図1)。

 解析モデルの開発および実物大設備での試験を行い、モデルの妥当性を確認するとともに(図2)、
支線により線路方向の電柱固有周期を短周期化できること、また電柱と架空電線を剛結支持する
ことにより、支線の設置間隔を長くしても同様の効果が得られることを明らかにしました(図3)。
電柱固有周期の短周期化によって、L2 地震動に対しても電柱振動を低減できます(図4)。

 本手法は、電柱の門形化による線路直角方向の地震対策と組み合わせることにより、従来の電柱
建替えや補強と比較して、短期間かつ低コストに施工できます。