7. 車両側面カメラを用いた安全確認支援装置

 列車発車時等のホーム上の安全確認は、これまで乗務員の目視によって行われてきました。この
作業を自動化することで、乗務員の支援、さらにはワンマン運転の業務削減が期待されます。そこ
で、一部のワンマン運転区間で運用され始めている車両側面カメラを活用して、車両への旅客の接
近を検知し、ホーム上の安全確認を支援する装置を開発しました。

 旅客接近検知には、駅環境に特化した独自のデータセットで学習することにより、人物(全身と
頭部)、車いす、ベビーカー、白杖の検知が可能となりました(図1)。さらに、駅環境に特化した
高速なAI モデルを開発し、実装方法も工夫することで、性能を維持したまま高速化を実現し、
CPU のみでリアルタイム処理(20ms) できる装置の開発が可能となりました(図2)。GPU 等の
高価な画像処理用半導体が不要となるため価格が抑えられるとともに、専用冷却ファンが不要とな
り、小型化、低騒音化、耐振動性向上(JIS E4031「鉄道車両用品- 振動及び衝撃試験方法」適合)
等を実現しました。既設の車両側面カメラから映像データが取得できれば、既存システムに本装置
を付加することで旅客接近情報を乗務員に通知できます。(図3)。