30. 光センシング技術による鉄道用早期地震警報の高精度化

 早期地震警報の即時性向上と震源決定の精度向上を目的に、光センシング技術(DAS;Distributed Acoustic Sensing)の活用法を提案しました。

 新幹線の構造物上にある既設光ファイバーケーブルに DAS を適用した地震観測網を構築しました。
 これにより、構造物の種別や地盤の揺れやすさを反映した地震に伴う光ファイバーケーブルのひずみ波形を高密度(5mごと)に取得できることを確認しました(図1)。
 また、これまでの光計測技術では誤差が大きかった各地点の強震動波形に対し、地点間のサイト特性の比と近傍の正確な波形から得た位相情報を用いて波形を復元する手法を新たに提案し、マグニチュード6.6の地震時における構造物天端の最大ひずみを算出しました。
 このように、DASにより、鉄道沿線で高密度かつ正確な強震動波形を取得できることを確認しました。さらに、鉄道用の早期地震警報の高精度化を目的として、DASによる複数観測点のリアルタイムデータを用いた震源決定手法を開発しました。
 これにより、単独観測点のデータを用いる現行手法(震央距離の誤差が倍半分)に比べ、震央位置を高精度(震央位置の誤差が数km未満)かつ迅速(最初にP波を決定してから1秒未満)に決定できる(図2)ことから、誤警報の発出回数の削減や適切な範囲への警報発出が可能となり、鉄道の更なる安全性と輸送の安定性向上に貢献できます。