20. 車両駆動用リチウムイオン電池の劣化予測手法
駆動用リチウムイオン電池(以下、蓄電池)を搭載した車両は、省エネルギー性が向上する等の利点がある一方で、蓄電池が高価であるため交換コストの抑制が課題となります。蓄電池の劣化指標は容量減少率と内部抵抗増加率であり、これらを予測して無駄のない交換計画を立てていく必要がありますが、高頻度に充放電される蓄電池の実用的な劣化予測手法は確立されていませんでした。
そこで、実車両の加減速等に伴う複雑な充放電の履歴を、単純な充放電の繰り返しに換算し、蓄電池の劣化を予測するため、基礎的な充放電試験を行い必要なパラメータを設定しました。また、この充放電の繰り返しによる劣化(サイクル劣化)モデルに、既開発の使用環境による劣化(保存劣化)モデルを加味した劣化予測手法を構築しました(図1)。
ディーゼルハイブリッド車両の蓄電池(図2)を対象に、約3年間の運用で予測式を検証した結果、容量減少率は実測値との差が3.7%、内部抵抗増加率は実測値との差が3.4%となり、実用的な予測精度を有していました(図3)。蓄電池の将来の使用条件(温度や充電率の推移)を入力すれば、本手法によって容量と内部抵抗の予測値が得られます。予測値に基づく余寿命をもとに、なるべく長期に使用してから蓄電池を交換すれば、交換コストを抑制できるため、蓄電池搭載型の省エネ車両が導入しやすくなります。
