23. 沿線騒音の遠隔常時モニタリングによる編成別車輪状態の把握手法
新幹線の沿線騒音は、鉄道事業者における環境基準の遵守や環境保全の観点から、実態や経時変化を定量的に把握することが望まれます。沿線騒音を構成する代表的な音源の一つである転動音の低減対策として車輪転削が有効とされる一方、転動音の発生状況は車輪踏面状態によって異なるため、車輪転削の施工時期の的確な判断は容易ではありません。
そこで本研究では、転動音の発生に係る車輪踏面状態の経時変化の特徴を捉えるため、沿線騒音に関する環境基準の標準的な評価点である地上25m点やレール近傍点等における沿線騒音の常時計測が可能なモニタリング手法を開発しました(図1)。現地に設置した計測機材で自動収録した通過列車ごとの音圧・レール振動波形を、分析拠点へ遠隔伝送し、集約することができます。本手法で取得した長期間の計測データと車輪転削からの走行キロ等の編成情報を組み合わせ、同一車両形式の約20編成を対象とした約400通過列車の統計解析を実施しました。その結果、車輪転削時点からの走行キロが同程度であっても騒音にばらつきが生じること(図2)、および一定の走行キロを超えると騒音が増加傾向となることを確認しました(図2中、領域A)。また、走行を重ねた車輪に対して転削を行うことで、転動音を含む地上25m点の騒音が低減することなどを確認しました。さらに、騒音の経時変化の分位点回帰分析によって、環境基準の超過に影響しうる編成(図2中、領域B)を抽出できるようになりました。また、地上25m点での測定が困難な場合でも、高架橋直下点騒音から転動音の経時変化を把握可能です。
本手法は、車輪踏面状態を反映した転動音の経時変化を遠隔から把握できるため、編成ごとの車輪転削時期の決定に役立てることができます。
