振動による駆動用機器の状態監視法の開発

エンジンやモーター等の駆動用機器を対象として、振動による状態監視法を開発しています。この状態監視法では、図1のような状態監視システムを想定しています。図1のシステムでは、振動センサで機器の振動を測定して車上の状態監視装置でオクターブバンド分析(図2)を行い、その結果を地上のコンピュータに蓄積して、診断プログラムで異常検知等を行います。診断プログラムでは、機械学習の考え方を応用して、過去に蓄積した正常データとの比較により異常を検知します(図3)。また、過去の異常時の振動データがある場合には、そのデータとの比較を行うことで、異常の種類を推定することもできます。

これまでに、エンジン潤滑油への異物混入(図4、図5、文献1)、補機駆動軸の異常模擬、車両走行時の機器動作状況による振動の変化(文献2)等について提案手法を適用し、概ね期待通りの結果が得られることを確認しました。今後も、様々な機器の様々な異常や劣化に対して検証試験を実施していく予定です。

参考文献

  1. 近藤稔、髙重達郎、真鍋慎一、菅野普:振動による状態監視法を用いたディーゼル機関異物混入時の異常振動検知、鉄道総研報告、第30巻、第4号、pp.47-52、2016.04
  2. 近藤稔、真鍋慎一、髙重達郎、菅野普:振動のオクターブバンド分析を用いた車両用ディーゼル機関の異常検知手法、鉄道総研報告、第29巻、第9号、pp.17-22、2015.09
  3. 西谷幸祐、近藤稔、髙重達郎、菅野普:振動による状態監視法を用いた気動車の異常検知と診断、鉄道総研報告、第30巻、第11号、pp.35-40、2016.11
  4. 西谷幸祐,近藤稔,髙重達郎,片岡祐太,野口敬太:振動による駆動機器用状態監視システムの営業列車への適用、鉄道総研報告、第32巻、第8号、pp.23-28、2018.8
  5. 堺谷洋,近藤稔,高橋研:主電動機軸受の漏洩電流を用いた異常検知手法、鉄道総研報告、第33巻、第3号、pp.29-34、2019.3
  6. 近藤稔,堺谷洋:車両機器のリアルタイム異常振動検知を目的とした異常度計算の高速化、鉄道総研報告、第33巻、第10号、pp.11-16、2019.10