モニタデータ分析による機器の異常検知

車両機器全般を対象として、車上で記録されるモニタデータ分析による異常検知手法を開発しています。既存のデータを活用することでセンサを増設することなく走行中の車両機器の早期異常検知を可能にし、運行の信頼性を更に向上できる可能性があります。そこで図1のように、注目する車両機器について、モニタデータから動作の特徴を抽出し、異常の程度(異常度)を判定する手法を提案しています。

図1のシステムでは、機器が正常に動作している期間に取得されたモニタデータから、対象機器の正常時の挙動を推定できるモデルを作成します。そして、走行時のモニタデータとモデルが推定した正常時の挙動を比較することで異常度を評価します。

これまで営業車両で取得されたモニタデータを対象に、エンジンのオーバーヒートや空調装置の性能低下等の実際に発生した異常を、早期に検知できることを確認しました(図2)。また、図3のように本手法を状態監視システムに適用することで、乗務員や指令員が車両機器の異常発生を早期に把握できます。これにより、重大な故障に至る前に処置・修繕を行う等の対処が可能になります。

参考文献

  1. 横内俊秀、近藤稔:鉄道車両におけるモニタデータを用いた機器の異常検知、鉄道総研報告、第36巻、第2号、pp.23-28、2022.02