車輪/レール接触往復運動ユニット

1.はじめに

鉄道における車輪とレールの接触部は荷重の支持、駆動力・制動力の伝達、進行方向の案内、列車の検知など多岐にわたる役割を担っており、車輪/レールには分野を横断した種々の境界問題が生じます。こうした諸問題を解決するためには車輪/レールの基礎的な接触特性について調べることが重要となります。

2.試験機の特徴

本試験機は実物の車輪とレールを設置し、実際の車輪/レールと同様の接触位置、接触面の形状・大きさを再現することができ、この点が本試験機の大きな特徴といえます。また実物のレールは軌条輪(レールを模擬した車輪)と比較して取り換えが容易なため、実環境下と同様の様々な状態のレールを用意して試験を行うことも可能です。下図に示すように、車輪とレールは上下反転した状態で設置し、レールを油圧駆動させることにより車輪と接触させ、輪重を最大50kN、レール長手方向の接線力を最大20kNまで付与することができます。車輪には駆動機構がありませんが、輪重をかけた状態で接線力を付与すると車輪/レールの摩擦力により車輪は回転します。また曲線走行時を模擬して、車輪とレールの相対角度(アタック角)を設定でき、横圧も最大40kNまで付与することができます。

これまでに本試験機を用いて、車輪/レールの摩擦係数に及ぼす各種介在物の影響や乗り上がり脱線現象について調べてきました。その他試験機に電気的な測定回路を組み、軌道回路の短絡現象の調査なども行ってきました。今後も車輪/レールに関わる境界問題の調査や実験に活用していく予定です。

関連ページ

参考文献

  1. 深貝晋也:研究開発七つ道具 No.31 車輪/レール接触往復運動ユニット、RRR、Vol.71、No.12、p.42、2014.12