小型低騒音風洞

1.装置概要

風洞は物体まわりの空気の流れを研究するための実験装置で、一様な空気の流れ(気流)を作り出し、供試体に一様な気流を作用させることができます。
本来、鉄道車両は静止した空気中を走行するものですが、移動する物体が空気から受ける力(空気力)を測ったり、移動する物体周りの流速を測ることは難しいです。そのため、風洞実験では、風洞によって作り出された一様な気流の中に、静止した物体を置き、物体が移動する状況を模擬します。即ち、実際には静止した空気の中を物体が移動するという状況から、風洞実験では物体が静止し、周りの空気が移動するという状況に置き換えることで、物体周りの流速や物体に加わる空気力を測ることが容易になります。

この風洞では実験の目的に応じて、開放型と密閉型の2つの測定部が使用できます。

■開放型測定部
吹き出し口の大きさ0.72m×0.6m 最高風速150km/h 測定部長さ2.3m(ノズル延長時は1.8m)
吹き出し口の大きさ0.48m×0.4m 最高風速300km/h 測定部長さ1.6m

■密閉型測定部
吹き出し口の大きさ0.72m×0.6m 最高風速150km/h 測定部長さ3.57m(全長3.8m)

2.特徴

車両の高速化により、車両が風を切る音(空力音)が問題となっています。空力音の研究のためには、暗騒音(供試体が設置されていない状況で風洞から発生する音)が小さくなくてはなりません。この小型低騒音風洞は、空力音の研究のために、暗騒音を低くする工夫がなされています。

小型低騒音風洞を用いて、車両に働く空気力や車両周りの流れの研究だけではなく、空力音に関する研究も盛んに行われています。

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参考文献

  1. (鉄道総研の実験設備13)小型低騒音風洞、RRR、Vol.60、No.11、pp.35、2003.11
  2. 環境工学に関する大型実験設備、RRR、Vol.61、No.7、No.18-25、pp.35、2004.7
  3. (研究開発 七つ道具)小型低騒音風洞、RRR、Vol.73、No.11、pp.43、2016.11