5. 斜面災害に対する融雪期の管理手法

積雪地域の鉄道沿線の斜面では、融雪水が地盤に浸透することによる土砂災害が発生する場合があります。このような斜面災害は、降水量のみに基づく既往の運転規制の方法では警戒すべき時期や箇所を予測できないことが課題となっていました。そこで融雪期の斜面災害の原因となる融雪量に基づいた斜面の安定性評価手法と警戒箇所を抽出する調査手法を開発しました。

斜面の不安定化と地盤に含まれる水の量には密接な関係があります。そこで、気象庁が配信する気温などの気象データから、地盤に浸透する融雪水の量を推定するモデルを作成し、融雪水の量を地盤に含まれる水の量と関連性のよい指標(以下、「実効融雪量」)に換算して、実効融雪量が警戒値を超えた場合に斜面が不安定化したと判定する手法を考案しました。本手法による代表的な検証事例を図1に示します。警戒値は現地における過去の融雪量データの最大値に基づいて設定します。

また、過去の斜面災害事例を収集し、融雪期に斜面災害が発生する可能性の高い地形条件を明らかにしました。さらに融雪期に斜面災害が発生した場所の土質条件を調査し、地形条件と土質条件に基づいて斜面の安定性を定量的に判定する調査手法を考案しました。これらを利用することで、融雪期における斜面災害の要注意箇所を抽出できます(図2)。

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