12. リスク情報を活用したヒューマンファクター分析法

ヒューマンエラーの背景要因を分析する「鉄道総研式ヒューマンファクタ分析法」では、エラー事象の数が多い場合に調査や分析は時間を要します。そこで、分析を効率的に行うため、リスク情報を活用した新しい手順(図1)を提案しました。

従来は、時系列対照表を用いて、「システムが要求している目標」と「実際の行動」とのズレを「逸脱」として特定し、その全てを分析対象としていましたが、本手法では、ヒヤリハット等のリスク情報を用いてリスクが大きいエラーを特定し、分析対象を限定します。また、特定されたヒューマンエラーの背景要因を論理的に探るため、「なぜなぜ分析の支援ツール」を作成しました。900件の事例のエラー要因の因果関係の分析結果に基づき、「なぜ?」という問いに対する要因の候補を示します。さらに、背景要因の分析結果に基づいて対策を検討する際に、「関係者への注意」等の一時的な是正対策よりも作業の仕組みの改善を促すため、「ヒューマンファクター対策検討フロー」(図2)を作成しました。遵守すべき取り扱いの内容や実施条件等に無理がないかを確認する9つのステップを示します。

本手法は、ヒヤリハット等を安全管理体制に活用する方法であり、論理的なヒューマンファクターの分析により作業や仕組みの改善を促します。

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