27. 二重偏波レーダーを利用した新雪密度の推定手法

 降雪時の運行や除雪計画の適切な実施には降雪量の適切な把握が重要です。
近年、水平・垂直方向に振動する電波を送受信する気象レーダー(二重偏波レーダー)の普及によって、精度の良い面的な雨量情報が一般に利用されるようになってきました。
一方で、気象レーダーで推定できるのは「水」の量で、雪の量(降雪深)を知るためには降り積もる雪の密度(新雪密度)を知る必要があります。
これまでは地上気温による簡易な新雪密度の推定手法が用いられていましたが、雪の融解の有無しか考慮できず、乾雪の密度の違いに対しては気温との相関がありませんでした。
そこで、降雪種(雪片、霰等)に応じた新雪密度の違いを定量的に評価する手法を新たに開発しました。

 地上観測および二重偏波レーダーのデータ分析により、雪粒子がどれだけ霰に近いかを定量的に評価可能な指標を提案し、新雪密度との関係性について定式化しました(図1)。
これにより、二重偏波レーダーの観測データを用いてリアルタイムかつ面的に、降雪種に応じた新雪密度の推定が可能となります(図2)。

 本手法により推定される新雪密度を用いることにより、雪崩の危険度や線路上の降雪深、車両床下着雪量等の推定精度の向上が期待できます。