28. 車輪による雪の蹴り上げ構成則を用いた着雪シミュレーション
降雪地帯を鉄道車両が走行すると、図1に示すように、台車前方には粉雪状の着雪が、台車中央から後方にかけては氷状の着雪が発生します。特に氷状の着雪は、落下した場合に分岐器や信号設備などの軌道設備を損傷させるおそれがあります。既開発の着雪シミュレータでは、舞上がりによる粉雪状の着雪に対応していましたが、氷状の着雪を再現することはできませんでした。この氷状の着雪は、車輪による雪の蹴り上げによって生じていると考えられます。
そこで、雪の蹴り上げメカニズムを解明するために、蹴り上げ試験を実施しました。蹴り上げ雪は一部が融解して水分を含みながら、氷状へと変化して着雪していることが分かりました。またあわせて、蹴り上げ雪の発生位置と軌跡などを明らかにしました(図2)。
これらの現象を表現可能な雪の蹴り上げ構成則を構築し、既開発の着雪シミュレータに実装し、在来線車両床下の着雪状況の撮影画像(図1)を用いて検証しました。その結果、シミュレーションでは、台車前方では舞上がりによる粉雪状の着雪が、台車中央から後方では蹴り上げによる氷状の着雪が再現され、実際の着雪分布と整合する結果が得られました(図3)。
本成果により、粉雪状の着雪に加えて、設備損傷の要因となりやすい氷状の着雪についても、定量的な評価が可能となりました。これにより、鉄道事業者における着雪防止構造の検討や対策効果の予測を支援することができ、安全性の向上および保守作業の効率化への貢献が期待されます。
