31. 列車事故時の乗務員傷害度を評価するためのニーインパクト試験
踏切等での列車と大型自動車の衝突時における乗務員の保護については、車体のエネルギー吸収や生存空間確保等が対策として進められていますが、近年ではこれに加えて、乗務員の運転台との衝撃の緩和についても研究が行われています。乗務員の傷害度の評価には、人体モデルによるインパクト試験(図1)が用いられますが、実施可能機関が少ない、あるいは試験コストが高いといった課題がありました。
そこで、鉄道総研では、傷害発生リスクが高い大腿部に着目して、乗務員の傷害度を簡易かつ高精度に評価できる、膝の部分モデルを用いた、新たなインパクト試験法(ニーインパクト試験)を開発しました(図2)。また、ニーインパクト試験および人体モデル試験を高精度に再現できる数値解析モデルを構築し、デジタル試験による現象解明が可能な環境を整備しました(図3)。
提案したニーインパクト試験の妥当性について、人体モデル試験との比較により、運転台下側の鋼板の固定方法、人体モデルの着座位置など4ケースで検討を行いました。また併せて、数値解析で69ケースを再現しました。衝撃中の人体モデルの有効質量の変化等の影響で差異がみられるものの、ニーインパクト試験の結果を補正すれば、人体モデル試験に相当する結果が得られることが分かりました(図4)。この大腿部傷害値を様々な目安値と比較することで、運転台の傷害度リスクを評価できます。
提案したニーインパクト試験やデジタル試験は、運転台の仕様策定や被害対策の検討に活用できます。
