29. 車輪フラット発生時の軌道部材の衝撃応答シミュレーション手法

 車輪フラットを有する車両が走行する場合、車輪-レール間に著大な衝撃力が発生し、PCまくらぎの折損等、軌道部材の損傷につながるおそれがあります。一方で、走行車種や車輪フラットの大きさ・形状、軌道条件の違いによって、軌道部材にどの程度の応答が生じるかは明らかにされていませんでした。

 そこで、車輪フラットを有する車両が走行した際に発生する軌道部材の衝撃的な応答を計算できる数値シミュレーション手法を開発しました(図1)。本手法は、車輪フラットを模擬した車輪凹凸形状を有するマルチボディ車両モデルが、有限要素法でモデル化した軌道上を走行するもので、任意線区の車両条件や軌道条件を設定することが可能です。本手法では、車輪フラットを車輪の走行軌跡として表現することで高速計算を実現するとともに、軌道パッドの圧縮特性をはじめとした各種非線形特性を考慮可能です。

 本手法の妥当性を検証するために、人工的に車輪フラットを設けた車両の走行試験結果と比較し、レールおよびPCまくらぎの曲げ応答を精度よく計算できることを確認しました(図2)。また、車両条件や軌道条件を変化させたパラメトリックスタディにより、車輪フラットの大きさや形状(角落ち)、車両のばね下質量、軌道パッドの種類等が軌道部材の応答に及ぼす影響を明らかにしました(図3)。

 本手法は、線区条件に応じたPCまくらぎの設計や耐用年数を超えるPCまくらぎの交換目安時期の設定、低ばね軌道パッド等の高機能材料導入時における軌道部材の応答低減効果の定量化、PCまくらぎ折損発生時の原因解明ツールとして活用できます。