車両駆動用インバータ装置

鉄道総研では、期待粘着係数を高く設定した場合における電車駆動用モータ—制御や、燃料電池・バッテリーハイブリッドシステムなどの主回路機器間での協調制御が必要となる主回路システムに関する研究・開発を行うため、制御プログラム全体の任意変更が可能なインバータ装置を2005年に開発しました(図1,図2)。
2019年度の車載機器更新に伴い、所内試験電車での使用を終わり、今後は実験棟等で使用する計画です。

このインバータ装置は、燃料電池・バッテリーハイブリッドシステムを構成する主回路機器としても使用しており、燃料電池の鉄道車両適用に向けた研究を進めるうえで大きな役割を果たしています。このため、一般的な電車が有する空転・滑走再粘着制御や軽負荷回生制御などの機能に加えて、ハイブリッドシステムの電源種類自動推定機能や回生動作の有効/無効自動切換機能などを有しています。

試験目的に応じて制御機能を追加・変更することができることから、ノウハウの蓄積や研究・開発の効率化、外部企業からの要望事項に応じた所内走行試験(受託試験)の実施にも貢献しています。

参考文献

  1. 古谷勇真,小川賢一,山本貴光,長谷川均:ハイブリッド鉄道車両の電源種類推定と電力変換装置の自律分散制御,電気学会論文誌D,第130巻,第12号,pp.1298-1306,2010.12