地域鉄道用ロングレール構造の開発
1.はじめに
軌道の弱点箇所となるレール継目はロングレール化を実施し、レール両端を伸縮継目構造とすることで保守費の削減が見込めます。しかし、従来の伸縮継目構造は導入コストが高いため、地域鉄道への適用は困難でした。そこで当研究室では、コスト削減および安全・安定輸送の継続を支援することを目的として、従来の1/2以下のコストで導入可能なロングレール構造を開発しました。
2.開発した構造の特徴
(1)既設レールの溶接
既設40kgNレールの継目部付近の不良箇所を切断し、テルミット溶接により溶接継目とすることでロングレール化します。
(2)まくらぎ交換本数の削減
既設木まくらぎの一部をPCまくらぎに部分交換、あるいはまくらぎ間隔を1.5倍に広げてすべてPCまくらぎに交換することで、PCまくらぎへの交換本数を削減できます。
(3)伸縮継目の代替構造
開発した伸縮継目の代替構造は、著大なレール継目の隙間を許容し、溶接が不要で現行の1/5以下のコストで施工できます。
(4)道床横抵抗力の増強工
土砂混入バラストにセメントを加えて安定処理を行う安価な工法で、軌道の横方向安定性を確保するために必要なまくらぎの道床横抵抗力を確保できます。
本研究は、国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。
参考文献
- 西宮裕騎、伊藤壱記、桃谷尚嗣:地域鉄道に適した低コストなロングレール軌道構造の開発、鉄道総研報告、第35巻、第4号、pp.17-22、2021.04