1. 巨大地震に適用可能な地震動シミュレーター

東北地方太平洋沖地震は、長さ500km×幅200km程度の非常に大きな領域がすべることで発生しました。この地震の揺れは日本全国に伝播し、震源から遠く離れた関東地方においても液状化等の被害が生じました。今後想定されるマグニチュード9クラスの巨大地震を対象とした地震動シミュレーションを実施するには、このような非常に広いエリアを対象とする必要があります。

そこで、地形や深部地盤構造の3次元的な変化と、断層面の複雑なすべりを考慮可能な地震動シミュレーターを開発しました。本手法では対象範囲と震源域等の限られた情報を入力するだけで、自動で解析データの生成から地震動シミュレーションまでを実施することが可能です。本手法を用いて東北地方太平洋沖地震のシミュレーションを実施したところ、実際に計測されたように三陸沖の震源から離れた関東地方において、地震発生後250秒経過しているにもかかわらずゆっくりとした震動が継続していることが再現できました(図1)。また、実際に観測された計測震度と本手法により推定した計測震度を複数地点で比較し、推定される地震動の予測精度としては、最大でも計測震度で±1の範囲で評価できることを確認しました(図2)。

政府の地震調査研究推進本部によると、南海トラフの地震は今後30年間で60.70%の確率で発生すると評価されています。本手法を用いることで、このような巨大地震を対象として、鉄道構造物への影響評価や局所的な危険箇所の抽出が可能となります。

その他の関連コンテンツ