5. バラスト軌道の地震時座屈対策工

バラスト軌道に地震動が作用している間は、道床横抵抗力が低下し軌きょうが座屈しやすくなります。さらに、酷暑期はレール温度(軸力)の上昇により軌道を座屈させようとする横方向の荷重が大きくなるため、地震時の座屈安定性がさらに低下します。しかしながら、加振中の座屈安定性の評価方法が確立しておらず、各種対策工の有効性が不明でした。そこで、引張り荷重の変化が小さい特殊なばねを用いることにより、加振中においても一定の横方向荷重をまくらぎに与えることができる試験方法を開発し、大型振動台試験により各種座屈対策工座屈安定性を、まくらぎ横変位を指標として定量的に評価しました(図1)。

室内試験では、道床横抵抗力は加振中に大きく低下し、レール軸力(横方向荷重)が大きい場合には、横方向のまくらぎ変位が大きく増加することがわかりました(図2)。また、各種座屈対策工を用いることにより、加振中のまくらぎ変位を大幅に低減できることがわかりました。検討した座屈対策工の中では座屈防止板の効果が最も高く、本試験の条件下においてまくらぎ変位を1/10程度に低減できることを確認しました(図3)。

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