10. フェールセーフ性を備えた機械式空気圧操舵システム

曲線通過時に、外軌側軸距を拡大して曲線通過性能を向上させる操舵システムが提案されていますが、電気的制御を行う操舵システムは誤動作による逆操舵の発生を危惧して実用化に至っていませんでした。そこで、曲線区間走行中の車体—台車間の角度に応じて機械的に操舵制御を行う、安全性の高い操舵システムを開発しました(図1)。

開発したシステムでは、考案したリンク機構により曲線走行中の車体—台車間の相対運動からボギー角を検出する装置と操舵アクチュエーターに圧縮空気を供給する空気圧制御弁を直結することによって、電気的制御を介さずに操舵制御を行います。さらに、操舵アクチュエーターはその内部に逆操舵防止弁を持ち、輪軸の自己操舵力が作用する方向にだけ空気圧による能動的な操舵動作を行う構造になっています。同時に、空気配管系に不具合が発生した場合にも従来の軸箱前後支持剛性を確保するフェールセーフ性を備えています。

システムを試験車両に搭載して所内走行試験を行った結果、操舵制御を行わない場合に比べて、80%以上の横圧低減効果が得られました(図2)。また、トラブルを想定し逆操舵状態にした場合でも逆操舵防止弁により、横圧が増加しないことを確認しました。

本システムをボルスタレス台車に適用することにより、機構が複雑で重量増加につながるボルスタ付きボギー角連動操舵台車と同等の性能を、軽量・コンパクトに構成できます。今後、所内走行試験で確認できていない高速走行時の性能評価を行うとともに、実用化にあたって必要なボギー角検出機構の耐久性に関する検証試験を実施します。

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