24. 新幹線区間に対応するCPSトロリ線

 東北新幹線(八戸・新青森間)以降に開業した整備新幹線には、高速用架線向けに開発された、引張強度と導電率を両立するクロム・ジルコニウム系銅合金(PHC®)トロリ線が導入されています。
 しかし、PHCトロリ線は製造工程において鋳造と圧延を個別に行う必要があるため、製造時の最小ロットが大きく、鉄道事業者のトロリ線張替計画にきめ細かく対応した供給ができないことが課題となっています。

 そこで、PHCトロリ線と同等の高速性能を有しつつ、連続鋳造圧延による製造を可能とすることにより小ロットでの製造を実現したコバルト・リン系銅合金(CPS)トロリ線を開発しました。製造工程の変更によりコストの低減が可能です。

 定置試験により、CPSトロリ線は機械的・電気的特性のみならず摩耗特性や疲労特性などについてもPHCトロリ線と同等以上の性能を持つことを確認しました(図1、図2)。
 さらに、在来線および新幹線における試験架設により、CPSトロリ線の架設時における施工性や架設後半年間の使用において押上量やひずみ等の測定により集電性能と疲労特性に問題がないことを確認しました(図3)。また、一般的なトロリ線よりも耐摩耗性が高いことを確認しました(表1)。