27. 高速車両への着雪シミュレーション手法
列車の走行中に舞い上げられた雪が、台車や車体に付着して着雪が成長し、走行中に落下して、軌道のバラストを跳ね上げたり、信号設備や車両を損傷させたりすることがあります。
そこで、着雪対策検討用のツールとして、着雪プロセスを再現する着雪シミュレーション手法を開発しました。
本シミュレーション手法は、空気流シミュレータと粒子シミュレータを組み合わせて構成しました(図1)。
その手順は次のとおりです。
①空気流シミュレータにより対象物周囲の流れ場の速度分布を求めるために気流計算を行います。
②求めた流れ場に浮遊する雪粒子の軌道を計算します。
③対象物の近傍では、粒子シミュレータにより着雪計算を行います。
着雪が成長すると形状が変化するため、対象物の形状を更新し、上記①〜③の計算過程を繰り返して対象物への着雪形状を求めます。
開発した着雪シミュレーション手法によって、降雪風洞による着雪実験に近い着雪形状を再現可能なことを確認しました(図2)。
降雪風洞での台車モデルへの着雪実験に本手法を適用した例を図3に示します。白い点は着雪状況を表し、流線の色は気流の速度の大きさを表しています。
このように、本手法を用いれば、空気の流れと着雪の関係を把握することができるため、実形状の台車等に適用することで、着雪しにくい車両形状の検討に活用できます。