29. 火山灰質土の含水変化に起因した降雨 ・ 地震時の斜面崩壊機構

 近年、降雨や地震により火山灰質土の斜面で多くの被害が生じています。我が国の国土面積の約4割を占める火山灰質土は一般の土とは異なり緩く堆積していることが多く、降雨や地震により含水状態の変化が生じやすく、含水変化に伴う強度・変形特性の変化を明らかにした上で斜面の崩壊機構を検討する必要があります(図1)。

 そこで、火山灰質土の強度・変形特性を把握するため、載荷中の含水状態の変化を考慮できる不飽和状態での力学試験を様々な火山灰質土を用いて実施し、含水量の増加によって強度低下が生じることや、含水量が少なくても繰返し載荷を受けることで間隙水圧が上昇し、液状化に至る可能性があることがわかりました(図2)。
 また、含水変化に伴う強度・変形特性の変化を表現できる土の構成モデルを提案し、土・水・空気の三相状態を考慮した浸透-変形連成解析法に導入して実際の斜面災害を対象とした数値解析を実施したところ、火山灰質土層内の含水量が増加することで斜面の安定性が低下し、変形が生じることがわかりました。(図3)。

 これらの含水変化を考慮できる力学試験と数値解析手法を用いることで、火山灰質土からなる斜面の降雨・地震時の崩壊機構を明らかにしました。