17. 高出力化した燃料電池ハイブリッド電車
実用形に近い燃料電池ハイブリッド電車の構成を目指し車内空間を確保するとともに、電化区間における将来的な地上電気設備の削減を目指し、電車と同等の加速性能(起動加速度 2.5km/h/s)で走行可能な車両を開発しました(図1)。
この性能を実現するために、平坦線区での走行を想定して電源出力を690kWとして、従前の試験車両に対し50%増の高出力化を図るとともに、主回路系装置を小型化して車両床下に搭載する必要がありました。
このため、燃料電池に対する蓄電池の出力割合を高くして小型化に優位な構成とし、さらに燃料電池では電流密度の高い燃料電池スタックの導入や冷却系装置を小型化することで、出力あたりの機器の体積を従前比で20%削減しました。
また、電力変換器は複数の電力変換部の統合や低損失半導体(SiC)の利用によって、機器の体積を従前比で45%削減しました。
以上の取組によって車内空間を確保するとともに(図2)、所内試験線での走行で燃料電池と蓄電池のハイブリッド電源により電車と同等の加速性能で走行できることを実証しました(図3)。
本車両の成果は、鉄道車両のCO2削減や地上電気設備の削減による省保守化などに活用できます。