19. 微気圧波低減のための3段型先頭部形状

 近年の新幹線の高速化に伴い、トンネル坑口から発生する微気圧波を低減するための先頭部形状の開発は重要な課題となっています。
 そこで、これまでとは異なる手法を用い、従来型先頭部形状よりも微気圧波低減効果の高い先頭部形状の開発を行いました。

 従来の先頭部の形状設計では、模型実験や数値流体解析から導かれた形状として、先頭部の先端部において断面積変化率を大きくし中間部以降では断面積変化率を一定にする滑らかな形状が推奨されてきました。
 ところが、線形音響理論を用いてさらに研究を進めたところ、トンネル断面の半径程度ごとに断面積が変化する多段型先頭部形状にすることで、微気圧波を低減できることがわかってきました。例えば、12m程度の先頭部の場合、3段形状にすると微気圧波をより低減できる可能性があります(図1、図 2)。

 以上の理論的知見に基づき、数値流体解析によって各段の位置や大きさを決定し、軸対称で緩衝工がないトンネルの場合について、流れが大きく剥離することなく微気圧波をより低減する3段形状先頭部を開発しました(図2)。
 3段形状先頭部の効果を模型実験で確認し、従来型先頭部に比べて微気圧波のピーク値をさらに5%程度低減可能であることを示しました(図 3)。
 また、12mの従来型先頭部形状と同等の性能を維持したまま先頭部長さを1m短縮することも可能です。