21. 営業線における超電導き電システムの機能の実証

 直流電気鉄道では、変電所から車両に電力を供給するき電線の電気抵抗に影響される回生ブレーキの失効や送電損失、変電所間でのき電電圧の降下などが課題となっています。高温超電導材料を用いたき電ケーブルは、液体窒素などで冷却することで電気抵抗がゼロで送電できるため、き電線に適用することで回生ブレーキの失効や送電損失の低減による省エネルギー化に加え、き電電圧の降下抑制、変電所の負荷の平準化など様々な効果が期待されます

 そこで、超電導き電システムのケーブル部、冷却設備部のそれぞれに対して、営業線への接続に必要な耐電圧などの仕様を整理し、それらに基づく超電導き電システムを製作しました。
本システムについて、まず通電試験等を行って仕様を満たす性能を有することを確認しました。

 次いで、超電導き電システムを営業線のき電線に並列接続し、試験車両による走行試験(図1)を行い、1編成への給電で、超電導き電システムを接続した408mの区間で電圧降下が抑制されていることを確認しました。また、災害や事故が発生し超電導き電システムが停止した場合を想定し、システムと既設き電線との切り離し試験を行い、列車の走行に支障することなく円滑に切り離すことが可能であることを実証しました(図2)。

 今後、線区毎に異なる使用条件に対応できるよう、温度や圧力損失などの冷却性能や通電性能等の技術を蓄積し、より実用的なシステムの実現を目指して開発を進めます。