20. 新幹線用パンタグラフの空力音低減策および平均揚力補償機構

 新幹線の高速化に伴い、パンタグラフの空力音低減策が求められています。
 そこで、主要な音源部位である舟体および舟支え部に着目し、
 ①舟体については空力音低減と追随性能を両立できる貫通孔付きの多分割平滑化舟体を、
 ②舟支え部については、金属多孔質材付き頂点カバーと舟体位置を上流側に移設する改良舟支えを組合せる低騒音舟支えを開発しました(図 1)。
 これらの開発により空力音を2.7dB低減する効果があることを風洞試験で確認しました(図2)。
 なお、これらの開発物は単独の適用であっても一定の空力音低減効果が得られます(図2)。

 さらに、平均揚力補償機構は、低騒音性を重視して断面を平滑化形状とした舟体で大きくなる傾向がある揚力変化を抑えるもので、舟体表面の 5箇所の圧力とパンタグラフ高さの信号からパンタグラフの平均揚力を推定し、パンタグラフに実装した空気圧シリンダを制御して、押上力を調整することにより揚力変化を補償します(図3)。
 本機構により、すり板摩耗、作用高さ、および迎角を変更した際に平均揚力が変化する幅を従来の約4分の1に抑制できることを風洞試験で確認しました(図4)。
 平均揚力補償機構により低騒音で集電性能の高いパンタグラフの開発が可能となります。