25. アルミ合金製車体の衝突時の変形を抑制する衝撃吸収構造

 踏切事故等で車両が大きく損傷すると、車両復旧に多大な時間を要し、運用に影響が生じる場合があります。
 そこで、踏切事故時における車両の早期復旧を目的として、修復が難しい在来線アルミニウム合金製車体用の交換可能な衝撃吸収構造について、基礎的な検討を行いました。

  図1に示すように、強度と剛性が比較的高い台枠(床構造)部分の前方に交換可能な衝撃吸収構造を配置することを提案しました。
 既存の車体構造に取付けるため、大規模な設計変更は不要で、低コストで実現可能な仕様としました。
 本構造の効果検証のため、衝突対象として大型トラック(車両重量9.2トン、積荷なし)への衝突解析を実施しました(図2)。
 衝突速度54km/hのフルラップ条件の場合、衝撃吸収構造なしでは、主要構造部である台枠部分に大きな変形が認められましたが、衝撃吸収構造の採用により、最大変形量は約 77% 低減しました(図3)。
 図4に各衝突条件での主要構造部(台枠部分)の最大変形量および低減率を示します。例えば最大変形量10mmを許容する場合、フルラップ条件では衝突速度55km/h程度、1/2ラップ条件では60km/h程度、1/4ラップ条件では80km/h程度まで、車両の早期復旧が可能と判断でき、運用への影響を最小限に食い止めることができます。