27. レール波状摩耗の成長機構と進展過程の解明

 レール波状摩耗は、車両の走行に伴ってレール頭頂面に規則的な波長の凹凸が形成される現象で、騒音・振動などの要因となっています(図1)。
 その対策として、凹凸を定期的に除去するためのレール削正が行われていますが、成長機構や進展過程が未解明のため、抜本的な抑制策は確立されていません。

 そこで、この凹凸の成長機構を解明するために、軌道・車両の動的相互作用を考慮した理論解析を実施し、軌道・車両の振動特性や軸距に依存する4種類の成長要因があることを明らかにしました(図2)。
 さらに、営業線において測定した波状摩耗の発生状況と理論解析結果を比較し、各波長は理論値とほぼ一致することを確認し、成長要因を特定しました(図3)。
 次に、営業線において凹凸を継続測定し、波状摩耗の進展過程には、形成期と成長期、飽和期が存在することを示しました(図4)。
 この進展過程は、軌道・車両の動的相互作用解析で再現できることを確認しました。

 今後は、レール波状摩耗の成長機構に基づいた抑制策や、進展過程に基づいた適正な削正方法の提案を行います。