29. 架線・パンタグラフの 3 次元運動シミュレーション手法

 架線やパンタグラフの開発・設計の支援、および架線・パンタグラフ系の事故原因究明等に資する架線・パンタグラフの3次元運動シミュレーション手法を開発しました。
 これまでは実際の架線を2次元空間で再現していましたが、本手法により現実と同様に3次元空間に架線を模擬して集電性能などの評価が可能となります。

 本手法では、架線およびパンタグラフの運動および変形を表現可能な3次元のパンタグラフモデルを構築し、両者の運動解析により架線・パンタグラフの3次元運動を予測します。
 従来手法では困難であった、可動すり板方式パンタグラフの3次元挙動の把握(図1)、曲線区間やわたり区間でのトロリ線位置の解析(図2)、温度変化に伴う架線静構造の変化などを考慮したシミュレーション(図3)を行うことができます。
 図3では、気温低下に伴いトロリ線が径間中央で上昇するため、トロリ線が上り勾配となるA部で接触力が低下し、下り勾配となるB部で接触力が上昇していることがわかります。
 また、横風やトンネル内の流速を解析する空気流動シミュレーションとの連成によるトンネル突入時の押上力変化を再現した架線・パンタグラフの挙動解析や、車両運動シミュレーションとの連成による車両動揺に伴うパンタグラフ全体の傾きを考慮したトロリ線とパンタグラフ間の相対位置の評価が可能です。