22. 地震動の深層学習による早期地震検知手法

 早期地震検知手法は、地震動と列車振動などのノイズとを識別した上で、地震動に対しては震央距離やマグニチュードなどの地震諸元を推定し、振動検知後可能な限り早く鉄道への被害発生リスクを判定する必要があります。
 そのため、①地震動とノイズの識別精度と②地震諸元推定の精度を高めることは重要な課題です。
 そこで、深層学習を導入した早期地震検知手法を開発し、その精度を評価しました。

  ノイズ識別においては事前に観測された地震動と列車振動を教師データとして使用し、対象となる地震観測点での列車振動記録が少ない場合でも、データ生成処理を行って教師データ数を増加させることで高い識別率を得ることができます。
 現行の手法ではノイズ識別率が約90%でしたが、深層学習を用いることにより、約99%となることを確認しました(図1)。

 地震諸元推定については、観測された約20,000の地震動を教師データとして地震諸元を推定し、現行の手法と比較して全ての諸元の推定精度を改善できることを確認しました(図2)。
 さらに、汎用的なCPUを使用した場合でもノイズ識別から地震諸元推定まで合計0.7秒程度で処理できることから、実運用に適用可能な手法であることを確認しました。

 今後、深層学習によるノイズ識別や地震諸元推定を導入した早期警報用地震計を開発することにより、地震に対する強靭化に貢献することが可能となります。