25. ヒューマンエラー分析のためのテキスト分析コード

 事故・ヒヤリハットなどのリスク情報を安全管理に活かすためには、得られた情報の整理・分析が必要です。
 しかし、鉄道事故は報告件数が多くないものの、詳細な調査・分析を実施するため情報の記述量が多く、その整理に手間がかかるのが課題です。
 一方、ヒヤリハットなど自発的な報告は、安全意識の向上や職場の安全風土の醸成に伴い、この10年で多くの事業者で報告件数が増大し、情報整理の負担が大きくなっています。

 そこで、リスク情報の記述データに対してテキストマイニング技術を適用するための分析アルゴリズム(コード)を作成しました。
 特にヒューマンエラーの発生傾向を把握するため、162項目の作業特徴(場面、場所、対象物、状態)や18項目の心理要因、4項目のエラー行動で分類コードが作成されているのが特徴です(図1)。

 この分類コードを用いてリスク情報を分析すると、例えば、事故やヒヤリハットといったリスク情報の種類によって、報告されているエラー行動の質が異なることが分かりました(図2)。
 また、作業特徴について報告月別に集計すると、季節によって注意すべき環境要因を把握できました(図3)。

 4000件の記述データについて、人がエラー行動を分類するには数か月かかるのに対し、95%を数秒で行うことができます。
 また、人が分類した結果を正解とした場合、83~94%の一致度で分類できることを確認しました。