19. 断面積2段型緩衝工
トンネル坑口から放射される微気圧波の低減対策法の一つにトンネル坑口に設置する緩衝工があります。
速度向上の際には緩衝工の延伸が必要となりますが、延伸長の増大はコストの増大につながるとともに、坑口周辺の状況によっては延伸が難しい場合があります。
そこで、より効果的な緩衝工延伸部の仕様を音響モデルによる計算で推定し、模型実験により確認しました(図1)。
その結果、従来型の緩衝工は断面積が本坑の1.5倍程度のものがほとんどですが、延伸部断面積を本坑の2.5 ~ 3.0倍とすると従来型の緩衝工より長さを約15%短縮しても圧縮波の波面圧力勾配最大値を同程度まで低減でき、微気圧波低減に有効であることがわかりました(図2)。
これらの検討をもとに延伸部の断面積が本坑の2.5倍の断面積2段型緩衝工を新幹線のトンネルに設置し(図3)、その効果を現地測定により検証しました。
その結果、同一速度における微気圧波最大値は大幅に低減され、列車速度320km/hでの微気圧波最大値は、緩衝工延伸前の列車速度260km/hの値以下となり、列車速度が向上しても現状より悪化しないことを確認しました(図4)。