22. 都市圏通勤路線における大容量超電導き電の開発と営業稼働実証
都市圏の通勤路線においては、往来する列車が多く、1日を通じて数千Aにおよぶ電流を送る必要があり、電圧降下を防ぎ、電力を安定供給するためには多くの変電所が必要となっています。
そこで、電気抵抗をゼロとすることで電圧降下を抑えることができる都市圏通勤路線向けの超電導き電システムを開発しました。
超電導ケーブルは408 mの長さで8000 A以上の電流容量を有し、超電導状態を保持するために冷凍能力2kW以上の大容量化に適したブレイトンサイクルの冷凍機を採用しました。
鉄道総研の日野土木実験所内に開発した超電導き電システムを設置し(図1)、隣接する路線を走行する営業列車に超電導ケーブルで電気を送る実証試験を実施しました。
当該路線の複雑なダイヤに基づいて走行する営業列車の力行時や回生時の複雑な電流変化に対応でき、最大で力行時3692 A、回生時2768 Aの大きな電流値に対しても、電圧降下が抑制されていることを確認し、超電導き電システムの効果を実証しました(図2)。
また、営業列車の力行や回生の影響を受けずにケーブルの温度は安定しており、超電導状態が保持できていることを確認(図3)し、世界で初めて「高負荷な都市圏通勤路線における超電導送電の実証」に成功しました。
超電導き電システムにより、変電所間隔を伸ばすことができるため、変電所負荷低減や削減が可能となります。