1. 光ファイバーセンシング技術(DAS)による鉄道地震防災手法
鉄道では、地震発生時の迅速な警報発令や点検・運転再開等の判断を行うため、線路沿線に数十kmの間隔で設置された地震計のデータを用いています。しかし、これらの地震計は設置間隔が広く離散的であるため、沿線の揺れを細かく把握することができません。その結果、警報発令判断に推定誤差が生じたり、地震後の点検作業や運転再開までに時間を要したりする要因の一つとなっています。
そこで光ケーブルに沿ったひずみを計測できる光ファイバーセンシング技術(DAS)(図1)を鉄道沿線の通信用既設光ケーブルに適用することで、沿線の地表面地震動分布を高密度に把握する手法を開発しました。本手法では、光ケーブルの設置環境(密着度合い)や構造物の振動特性を補正することで、地表面の揺れを正確に捉えることが可能です。さらに、DASで取得した多数のP波到達時刻を用いて逐次的に震源決定を実施することで、高精度に地震諸元(震源やマグニチュード)を推定する手法を開発しました。
大型振動台試験や鉄道の既設光ケーブルを活用した検証試験を行った結果、開発した手法により、数十m 間隔で小規模な揺れから震度6強相当の強い揺れまでの分布を把握できることを確認しました(図2)。また、地震諸元推定手法の検証では、P波検知後1-2秒程度で、震源位置を誤差10km以下、マグニチュードは±0.5程度の誤差で推定できることを確認しました(図3)。
本成果を基に、鉄道沿線の既設光ケーブルを用いて更なる手法のブラッシュアップを図りつつ、プロトタイプシステムによるリアルタイム稼働試験を行うことで、鉄道地震防災システムへの導入を目指します。
