3. 低コスト変位抑制ダンパーによる高架橋の地震時列車走行安全性向上

 新幹線のラーメン高架橋では、地震時に構造物が大きく揺れ、軌道に変位が生じます。その結果、地震時走行安全性が低下し、脱線リスクが高くなる場合があります。従来の変位抑制対策は、汎用部材に比べ、特別な材料や製造工程などを要する場合が多い特注ダンパーを用いることから、地震後の迅速な部材交換が容易ではないうえ、工事費が高く、施工の制約が大きいという課題がありました。

 そこで、高架橋に適用する低コストな変位抑制ダンパーブレース構造を開発しました(図1 左上、図1右上)。筋交ブレースと、汎用H形鋼の簡易な切削加工で製作できるダンパーを組み合わせることで、高架橋全体の挙動を効率的に高剛性化できます。さらに、特殊加工や専用製作設備を要しない形鋼のボルト接合を基本とすることで、現場組立の施工性を確保しました。これにより、従来品と同等性能を維持しつつ、製造や施工コストを20%以上低減できます。

 開発ダンパーの性能を、模型載荷実験と静的非線形有限要素解析で検証しました。拘束材がない場合には、圧縮力で座屈(曲がり)して耐力が低下しますが、開発ダンパーでは、拘束材により座屈を抑えることで、大きく変形しても荷重変位関係が安定し、地震の揺れに対して高いエネルギー吸収性能を発揮します(図1 右下)。標準的なラーメン高架橋に適用することにより、L2 地震時の応答変位が低減し、さらに車両に脱線が発生する地震動の大きさを50%以上向上できることを確認しました(図1 左下)。

 本成果は、一部の新幹線線区で実用化が予定されており、また、道路、建築等の他分野への展開が可能です。