2. 機械学習を用いた面的な地震動の即時推定手法

 鉄道地震被害推定情報配信システム(DISER) では、離散的な地震観測点の地表面地震動を地盤による増幅度を考慮して基盤面へ引き戻し(図1 水色矢印)、空間補間により基盤面の面的な地震動の分布を求め(図1 青色矢印)、再び地盤による増幅度を考慮して地表面の分布に変換します(図1 紫色矢印)。一方、基盤面の空間補間では観測点からの距離しか考慮していない点、地盤調査結果がない場合には増幅度を標高などの限られた地形情報から重回帰式で推定している点などの課題がありました。

 そこでまず、地表面の面的な地震動の推定精度向上のため、基盤面における地震動の空間補間に震源位置、観測点の配置、基盤面以深の地盤の硬軟などを考慮した機械学習を取り入れました。次に地盤による増幅度の計算に必要な地盤の振動特性の推定に山地・海岸・河川からの距離、傾斜などの地形情報を考慮した機械学習を取り入れました。例えば、地形情報を考慮して地盤の振動特性(固有周期Tg)を推定することで、軟弱地盤が広がる平野部を中心に重回帰式よりも推定精度が改善されます(図2)。

 2018年大阪府北部地震の再現解析の結果(図3)、現行手法では震度6弱の箇所が震度5強と判定されますが、開発手法では概ね震度6弱と判定されるなど推定精度の向上が確認出来ます。さらに、過去に発生した215個の地震での検証の結果、開発手法により計測震度などの地震動指標値の推定精度が全国平均で10%程度、図2の赤丸内のような軟弱地盤では30%程度改善することを確認しています。

 今後、開発手法をDISERに実装し、現在よりも高精度かつ高速に面的な地震動の分布を配信可能とすることで、地震発生直後の運転再開判断や運転再開時間の短縮を支援します。