車体弾性振動特性の把握
車体弾性振動(曲げ振動、びびり振動)の固有振動モード(固有振動数、振動形状)を把握するため、加振器を用いた定置加振試験(図1)もしくは走行試験で得られた振動測定データから、車体の3次元構造物としての詳細な振動特性を同定する手法を開発し、これまでに様々な車種の振動モードを調査してきました。
その結果、振動モードの特徴が車種(車体の材料または構造)によって異なることがわかり、新幹線車両等のアルミニウム合金製の車体では、車体全体が均一な「はり」もしくは「箱」として振動するモードが存在することや、通勤車両等のステンレス鋼製車体では、屋根・床・側の各面が独立に変形する形状の振動モードが狭い周波数域に複数存在することなどが明らかとなりました(図2)。一方、車種によらず、ほぼ同一の形状を示す振動モードが存在することもわかりました(同図(b)と(C))。
これらの検討により、従来から知られている、いわゆるはりの1次曲げ(図2(a))以外にも、乗り心地に影響を与える振動モードが複数存在することなどがわかりました。これを踏まえ、車両振動研究室では、複数の車体弾性振動モードの同時制振手法の開発などに取り組んでいます。