車両振動特性を表現できるモデルの作成

車体を立体構造物として、弾性振動特性を簡便に表現できる数値解析モデルの作成に取り組んでいます。車体の上下弾性振動は、従来車体をまくらばね上で支持された単純はりとみなし、軌道変位が軸ばね、まくらばねを介して伝達される上下加振力が原因で発生すると考えられてきました。これに対し、車体・台車の結合要素を介して伝達される前後方向の力が、車体に曲げモーメントを与えて弾性振動を発生させる場合があることから、けん引装置(一本リンク)やヨーダンパなどの前後系結合要素をモデル化の対象として考え、振動特性をより詳細に表現できるモデルの作成を行ってきました(図1)。

また、最近の車体で発生する弾性振動は、単純な弾性はりとはみなせない振動形状を示す場合があり、複数の固有振動モードが乗り心地に影響を与える例が見受けられるようになってきました。このような振動に対してなるべく簡便に、かつ3次元構造物としての振動特性を表現できるモデルとして、三次元弾性体を組み合わせた「拡張箱形モデル」によるシミュレーション手法の開発に取り組んでいます(図2)。近年では、粒子群最適化(PSO)を用いて実測結果との合わせこみを行うことにより、モデルの高精度化を実現しています(図3、図4)。

参考文献

  1. 富岡隆弘、瀧上唯夫、鈴木康文、秋山裕喜:実測データに基づく車体3次元弾性振動解析モデルの精度向上、鉄道総研報告、Vol.25、No.8、pp.11-16、2011.8
  2. 秋山裕喜、瀧上唯夫、 相田健一郎:車体の三次元弾性振動解析モデルのパラメータ決定手法、鉄道総研報告、Vol.34、 No.5、pp.29-34、2020.5

その他の関連コンテンツ