経年レールの曲げ疲労寿命推定
1.はじめに
レールの交換周期は、累積通過トン数に基づいて定められていますが、近年、メンテナンスコストの縮減のためレールの交換周期の延伸が強く望まれています。本研究では、営業線で敷設されていた経年レールの疲労試験を実施して、その余寿命を推定する方法を開発しました。
2.寿命推定方法の概要
- 営業線で敷設されていた経年レールの疲労試験を実施し、余寿命を表すS−N曲線を推定しました。
- レール頭頂面の削正によるロングレールの寿命延伸の可能性を明らかにしました。
- 高繰り返し数領域(載荷繰り返し数1000万回以上)の疲労試験結果を考慮することで、ロングレールの更なる寿命延伸が示唆されました。
3.本手法の適用
- レール頭頂面の凹凸を考慮したレール溶接部の底部に発生する応力を軌道条件および列車条件に応じて推定できます。
- レール削正条件(削正量、削正間隔)、軌道条件および列車条件毎にロングレールの疲労寿命を推定できます。
参考文献
- 弟子丸将、片岡宏夫、阿部則次:経年ロングレールの疲労寿命推定、鉄道工学シンポジウム論文集、第11号、pp.6-33、2007
- 水谷淳、細田充、片岡宏夫、山本隆一:高繰り返し数領域のレール疲労寿命を考慮したレール交換周期延伸の検討、鉄道工学シンポジウム論文集、第22号、pp.173-177、2018