水素・エチレン混合ガスを用いたレールガス圧接法の開発

1.はじめに

ガス圧接法は、主要なレール溶接方法として適用されています。現行のガス圧接作業において燃料ガスとして用いられているアセチレンガスは、産業界における需要減少および原材料価格の高騰に伴って生産コストが上昇しています。また、アセチレンガスは酸素との燃焼反応に伴い炭酸ガスが発生するため、環境に与える影響が懸念されます。このような中、将来においてもガス圧接の利用を可能とするため、世の中が水素エネルギー社会へ移行しつつある状況を鑑み、水素・エチレン混合ガスを用いたレールガス圧接法を開発しました。

2.水素・エチレン混合ガスを用いたレールガス圧接法の特徴

当ガス圧接法により作製した継手を対象に、静的曲げ試験および曲げ疲労試験を行った結果、現行法と同等の性能を呈したことから、当ガス圧接法を実用に供しても問題ないと判断されます。また、当レールガス圧接法は、ガス圧接作業時の炭酸ガス排出量を現行法のおよそ1/3程度に削減可能です。

さらに、現行法で用いるアセチレンガスボンベを水素・エチレン混合ガスボンベに置き換えるだけでガス供給が可能となるため、現行法と同等の作業性を確保できます。

参考文献

  1. 山本隆一:ガス圧接でレールをつなぐ、RRR、Vol.72、No.5、pp.8-11、2015.05
  2. 山本隆一、伊藤太初、寺下善弘、辰巳光正、吉田佳史 :水素・エチレン混合ガスを用いたレールガス圧接法、鉄道総研報告、第27巻、第4号、pp.47-52、2013.04