閉そく割り検討支援システム

閉そく割り検討とは

新たな路線の建設や新駅設置などを含む線形改良を実施する際には、各駅間の走行時分と併せて、列車の運転間隔(運転時隔といいます)を考慮する必要があります。各駅間の走行時分は運転曲線図をもとに算出し、運転時隔は縦軸に線路上の位置(キロ程)と信号現示の変化、横軸に時間の経過を示した時隔曲線図をもとに算出します。それぞれの算出に使用する運転曲線図と時隔曲線図の例を図1に示します。

運転時隔は列車の運行可能本数に直結し、運転時隔が小さいほど多く列車を運行することができます。地上信号機によって運行する区間では、運転時隔は地上信号機の配置によって決定されます。この信号機配置の検討を、閉そく割り検討と呼びます。

閉そく割り検討の難しさ

線形改良の場合や新たに建設される路線の場合は目標運転時隔が与えられることが多く、閉そく割り検討では目標運転時隔を満たす信号機配置が要求されます。

信号機の数を少なくすれば建設に要する費用は小さくなりますが、信号機の間隔が広くなるため運転時隔が長くなり、目標運転時隔を満たせなくなってしまいます。一方、信号機の数を多くすれば運転時隔は短くなりますが、建設に要する費用は大きくなります。また、信号機の間隔が狭くなることで信号現示の変化に対応した減速距離を確保できなくなってしまいます。閉そく割り検討ではこれらの関係を考慮しつつ、信号機配置を決定する必要があり、その検討には多く時間を要しています(図2)。なお、各信号機間の信号現示(信号機が表示する色)の変化を示したものを信号現示系統といいます。

本システムの概要

運転曲線作成システムSPEEDYをベースとして、閉そく割り検討に必要となる信号機系統の評価と運転時隔の評価を実施可能な支援システムを開発しました(図3)。

信号現示系統の評価する機能では、作成した信号現示系統を基に信号現示の変化に対応する制動距離を計算し、制動距離が2つの信号機間の距離よりも短いかどうかを評価します。運転時隔を評価する機能では、列車の走行条件や信号現示系統をもとに運転時隔を計算し、目標運転時隔を満たしているかどうかを評価します。

本システムの特徴

①実用的な閉そく割り評価の実現

信号現示系統の評価と運転時隔の評価では共に運転曲線が必要となりますが、それぞれの検討に求められる運転曲線は異なります。本システムでは、図4に示す通り、信号現示検討および運転時隔計算のそれぞれに対応した運転曲線を作成および適用可能です。

②目標運転時隔を満たす閉そく割りの提案

本システムは与えられた閉そく割りの評価のみならず、線路や車両の条件をもとに目標運転時隔を満たす閉そく割りを提案する機能を有しています。図5に示す通り、本機能を用いて実路線を模した2駅間の閉そく割りを探索することで、数秒で目標運転時隔を満たす閉そく割りを得られることを確認しています。

関連ページ

  1. 信号機配置「閉そく割り」の決定支援システム
  2. 運転曲線作成システム(SPEEDY)

参考文献

  1. 熊澤一将,北野隆康,坂口隆,田中峻一:運転時隔と信号機建植条件を考慮した閉そく割り提案手法、鉄道総研報告、第35巻、第3号、pp.11-16、2021.3