変位センサーによる地震後の橋りょう支承部損傷検知

 地震による揺れの大きさが鉄道事業者の定める規制値を超えた場合、目視点検等により設備に異常がないことを確認する必要があります。しかし、高所・狭あいな箇所にある橋りょう・高架橋の支承部は点検に多大な労力や時間が必要でした。そこで、高架橋に多く設置されるゴム支承の抜け出し量を地震後すみやかに遠隔から検知し、損傷状態を把握可能な変位センサーを開発しました(図1)1),2)
 開発したセンサーは、独立電源によって抜け出し量を測定し、測定データをネットワークサーバーに転送することで、近接目視を行うことなく遠隔地から容易に損傷状況を把握することが可能です。
 さらに、ゴム支承の抜け出し量と走行安全性や支承の復旧性との関係を整理することで、変位センサーにより検知した抜け出し量を運転再開の判断基準として活用可能としました(図2)。例えば、ゴム支承全体の30%が抜け出した場合(抜け出し率α=30%)、80km/hまでの走行が可能と判断できます。
 これにより、地震後点検の迅速化と早期運転再開の支援に活用できます。

参考文献

  1. 小野寺周、吉田善紀、豊岡亮洋、林吾介、高橋宏寿:変位センサーによる支承部の地震後損傷推定手法の開発、鉄道総研報告、Vol. 35、No. 5、pp. 47-52、2021.
  2. 小野寺周、豊岡亮洋、吉田善紀:橋りょう支承部の地震被害を素早く検知する、RRR、 Vol.78、No.3、pp. 24-27、2021.

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