鉄道から沿線への電波雑音評価

概要

鉄道沿線の環境に関する話題の一つに電波環境があります。電波環境を整えるためには、沿線での放送・通信に影響を与えるような電波が鉄道から出ていないか、また逆に、鉄道用の設備に影響を与えるような電波が周辺から到来していないか、を把握する必要があります。

鉄道から沿線に放射される電波雑音に対しては、国際電気標準会議が発行しているEMC規格(IEC 62236-2、IEC 62236-3-1)によって、測定法と限度値が定義されています。鉄道総研では、これらのEMC規格に準じた測定試験に対応できる測定用ワゴン車を所有し、測定評価を実施しています(図1)。なお、IEC 62236-2には、鉄道総研で実施している高架鉄道の沿線での測定法が採用されています。

この規格に基づく測定評価試験には多くの時間と労力が必要です。そのため、実測の前に電波環境を予測できれば、障害が発生する可能性を推測したり、測定場所や条件を絞り込んで試験期間を短縮したりすることが可能となります。さらに、対策効果を事前に確認することもできます。そこで、列車の走行に伴って鉄道沿線に放射される電波雑音を事前に予測するためのシミュレーション手法の開発に取り組んでいます。

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参考文献

  1. 川崎邦弘:電気鉄道用電波雑音シミュレーション手法の開発、鉄道総研報告、第25巻、第5号、pp.47-52、2011.05
  2. 川崎邦弘:沿線電波環境を予測する、RRR、Vol.67、No.8、pp.22-25、2010.08