鉄道における無線通信品質の評価

1.概要

鉄道環境で利用する無線通信システムには、サービスエリアが直線状に長い、高い安定性が求められるなどの、鉄道特有の条件を考慮する必要があります。そこで、鉄道環境における無線伝送品質の測定・評価手法に関する研究を行っています。

2.無線データ伝送回線シミュレータ

列車無線や無線式列車制御など無線通信を使用するシステムでは、必要な場所で所要の通信品質を満たすように無線伝送回線を設計することが重要です。そこで、事前に試算して無線機の仕様策定やアンテナ配置の設計に活用できるように、通信品質を推定するシミュレータ(RADTRACE)を開発しました。

2-1 特徴

・線形データ、車上局・基地局の情報等を入力することにより、通話品質やデータ伝送品質の推定結果を出力します。 ・沿線の伝搬環境や、雑音、干渉波の影響を考慮可能です。

2-2 主な用途

・無線式列車制御システムや列車無線システムの新規導入、更新、老朽取替時の無線回線設計支援
・不感地帯の原因予測と対策の検討
・無線機の性能を変えた場合の伝送品質評価
・沿線の伝搬環境や雑音環境の変化による影響の予測
・300MHz帯の対列車通信システム用に特化したLite版による地図画面上での簡易計算

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参考文献

  1. 川﨑邦弘、関清隆:鉄道向け無線データ伝送回線シミュレータの開発、鉄道総研報告、第28巻、第4号、pp.23-52、2011.05
  2. 川﨑邦弘、菅原宏之、立石 幸也、服部 鉄範:鉄道沿線向け無線データ伝送回線シミュレータの実装と検証、電気学会論文誌D(産業応用部門誌)、Vol.135、No.4、pp.420-425、2015.04(※)

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