30. 生理指標による運転士の状態推定

  • 高性能多点脳波計等の各種生理指標の同時測定を実施し、運転作業時の生理変化が 客観的に把握できるようになりました。
  • 複数の生理指標を組み合わせることで、集中状態や心理的動揺を推定できることを 確認しました。

ヒューマンエラー事故の防止のための運転士支援を目的とし、最新の各種計測技術を取り入れた実験環境(生理計測システム)を整備し、運転作業時の様々な生理変化が計測可能になりました。

生理計測システムは、拘束が少なく時間・空間分解能が高い多点脳波計測に加え、瞳孔径、心電、呼吸、発汗などが同時計測できます。また、モーションキャプチャとアイトラッカーを組み合わせることで、被験者の行動量と空間内での注視点情報のデジタル化も可能にしました (図1)。

この計測システムを用いて、一般成人を実験参加者として運転シミュレータを用いた基礎実験を行い、異常時の心身状態の変化を複数の生理指標で推定できることがわかりました。 実験では、突然の線路内支障物に対処するアクシデント課題と、厳しい時刻表条件で走行するタイムプレッシャー課題を行なった結果、運転作業中の集中状態や覚醒レベルの低下、アクシデントによるストレス状態(図2)を、脳活動から客観的に推定できることを確認しました。 また、従来は、生理指標は個人差が大きいため、定量的な指標としての活用は困難とされてきましたが、測定が容易な心拍や呼吸などの複数の生理指標を組み合わせることで、変化パターンに再現性がみられることを確認しました。 この個人内の変化パターンを活用して、集中や心理的動揺などの状態変化を、生理指標で客観的に推定できると考えられます。

図1 生理計測システムと模擬運転実験
図2 異常時の生理変化
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