15. 土砂混入したバラスト軌道の健全度評価指標および対策工法

 経年劣化や大規模降雨による冠水等で土砂が混入したバラスト道床は、列車荷重により沈下が急進する可能性が高くなります。
 このため、通常は道床交換を実施しますが、高い補修コストが課題でした。特に、被災区間では道床交換せずに徐行等をしつつ早期に運転再開したいというニーズがあります。
 そこで、土砂の混入率を変えたバラスト道床への繰返し載荷試験を実施し、沈下特性を評価しました。
 道床バラストの健全度を表す指標としてFI(バラストの粒径75µm 以下と4.75mm以下の含有割合の和)を用いることで、FIが大きくなると沈下量が急進しやすくなる等、沈下が急進するリスクの高低を判定できることを明らかにしました(図1)。

 また、土砂の混入率が高いバラスト道床の沈下を抑制するために、超速硬セメントと高分子材料を混合してつき固め補修する低強度安定処理工法(再つき固め補修が可能な強度に安定処理)を開発しました。
 FIが20%以上の沈下が急進しやすい道床バラストに対して、実物大試験により沈下抑制効果を確認するとともに、施工後も再度のつき固め補修ができることを確認しました(図2)。
 さらに、経年劣化した区間をマルチプルタイタンパで、被災した区間をハンドタイタンパで試験施工を実施し、沈下抑制効果を実証しました(図3)。
 本工法により、道床交換と比較して施工コストを90%程度削減できます。2022年4月に道床バラストの健全度評価方法および低強度安定処理工法を製品化し、関連マニュアルを作成しました。