17. レール継目における衝撃が鋼橋の疲労に及ぼす影響評価手法

 鋼橋のレール継目近傍では、疲労き裂が多く発生する傾向にあります(図1)。
 疲労き裂の発生原因としては、車輪の移動に伴って生じる低周波振動の影響が知られていましたが、レール継目ではこれに加えて車輪が通過する際に衝撃的な荷重が発生し、鋼橋の部材に数百Hzという高周波振動が生じ、この振動による応力が疲労き裂の発生を大きく助長していることを、実橋測定と解析から明らかにしました(図2)。
 このような高周波振動は局所的に生じるため、検査では疲労き裂の発生有無をあらゆる部材で確認する必要があり、大きな負担となります。

 そこで、高周波振動による応力を推定し、鋼橋の部材に累積する疲労を評価する解析手法を構築しました。
 本手法は1、2箇所の実測応力を基にレール継目での衝撃を求め、その衝撃を入力として解析により各部の応力を推定することに特徴があります(図3)。
 本手法により、累積する疲労が大きい部位を抽出でき(図4)、重点的に検査すべき箇所が明確となるため、検査を効率化できます。

 また、高周波振動の伝播経路や振動性状を同定できるため、より効果が高い補強方法の選定にも活用でき、鋼橋を効率的に維持管理することができます。